24歳の時、海外添乗員になった。
過去2回の記事
今日は、私が仕事をしている上で、大切にしていることをお話ししたい。
添乗員の性格や雰囲気が、引率してくるグループの雰囲気に反映されると、各国で迎えてくれる現地ガイドさんからよく言われる。
例えば、添乗員がかっちりきっちりしていると、グループ全体も「時間厳守です、おっす!」みたいな感じであったり、ぽわーんとした添乗員だとグループもほんわかーーするらしい。
私は、日本出発前の空港で必ず、
「皆様、これから行くところは、日本の常識は通じないので異国体験をすると思って、その国に合わせて楽しんで下さい。」
と初めの挨拶で言っておく。
これは、魔法の言葉だ。
なぜなら、一度これを言わずに大失敗したことがあるからだ。
ある日の中国の添乗の時、空港出発前に慌ただしくて、この言葉を言うのをすっかり忘れてしまった。
そうしたら、北京に着いてから、お客さんが、日本と違うことでネガティブになってしまい、大変な思いをした。なので、この魔法の言葉は、パスポートがあるか確認してもらったあとに必ず言っている。
大体、どの国にいっても、日本ほど時間や、接客サービスに厳しい国はない。
早いサービスでも雑だったり、予約時間に行っても準備できてないってことは、日本以外ではよくある。
日本のおもてなしは、すごいのである。
ところで、日本人は、とにかく食べるのが早い。レストランのキッチンがいつもてんやわんやだ。
「昼飯抜きだったのか?」と真面目にレストランマネジャーから聞かれることもある。
定食の国、JAPANは、早さと確実さが売りだ。
座席に座れば、お冷とおしぼりが出てくる日本は、すごいのである。海外では、お水も買うものだ。
レストランは、ゆっくり食事と会話を楽しむところ。まず、飲み物を頼むのが当たり前。
お客さんにによっては、飲み物にお金を使うことに財布の紐が固くなる人がいる。
レストランには、いつも安い予算で無理を色々言って、ツアー用のメニューを作ってもらっている。
感謝のしるしに私は、飲み物でお金を落として、協力したいと思っている。
だから、アルコールを飲まない人でもお勧めジュースを紹介して楽しんでもらうように工夫している。
しょっちゅう来れる場所でないところに来ているのだ。
せいぜい、滞在は、1週間から10日なんだし、まあまあゆっくりしたまえ!とスイッチの切り替えを日本出発時にインプットする。そのスイッチが魔法の言葉なのだ。
かといって、そのノリで集合時間も現地人時刻に合わせられると、日本人のしっかりぎっちり詰め込んだツアーのスケジュールが崩れてしまうので、時間厳守をお願いしている。
矛盾するのだが、そこはご勘弁していただいている。
トイレの流れ方、洗面所の水の出し方など、国によって全然違う。便座が温かくなるものが、日本行の機内誌に宣伝されて、購入する人もいるくらいだ。
日本のトイレのように綺麗でセンサーで水が出るなんて国はなかなかないので臨機応変に対応してもらえるようにヒントを出しておく。
「右を回してだめなら、左。それでもだめなら、上下で試し、最後どうしてもダメなら、叩けばきっと水も出ますよーー」と冗談交じりに言っておくと、皆、気楽モードスイッチ入って、いい感じになる。
面白かったのが、北欧に行くと、男性の小便器の位置が高いらしく、背の低い日本人のおじさま方は、子供用で用をたすと報告してくれる。これも異国体験だ。
郷に入ればではないが、一生に一回しかこの地に足を踏み入れられない人がほとんどだと思う。
わざわざ飛行機に乗って、遠いところに行くわけだから、その空気に溶け込んで、いい思い出を作ってもらいたい。
添乗員は、エンターテイナーではないので、楽しませられることに限りがあるが、私は、楽しむアイディアを出せる。あとは、各々が実行できるかということだ。
それでも私自身、現金なもので、ツアーによっては、アンケートがあるのだが、それに気持ちが左右されることがよくある。
そのアンケート結果は、ツアー担当者の元に行き、自分の仕事の評価に影響を及ぼすのでちょっと意識してしまう。
でも、どんなに頑張っても、評価するのは、人間だ。受け取り方、相性もあるから、難しい。
ものすごい手をかけたお客さんの添乗員評価が5段階評価の真ん中の3「普通」、
逆に全然、かまってあげれなかったお客さんの評価が5の「最高」
なんていう結果を見ると、なんだか胸の奥がチクっとする。
アンケートは嫌いだ。感情移入をできるだけしないでドライにやるのが一番なのだが、そうはいっても現実は難しい。
アンケートなしの仕事の時は、テストが終わった子供のように解放された気分でのびのび仕事を楽しんでいる。
自分を慰める魔法の言葉がほしいものだ。
そんなわけで、本日もツアーにご参加いただきありがとうございました。
今日はこれにて、おしまい。また次回まで!
(過去2回の添乗員記事貼っておきます。)
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