ガイドを始めてから、「居合道」や「抜刀」という言葉を知った。
居合道(いあいどう)とは、鞘に納めた日本刀を素早く抜き放って敵の攻撃に対処し、一瞬で制する日本の現代武道です。剣道のように直接打ち合うのではなく、仮想の敵を想定した「形(かた)」の修練を通じて、心身の鍛錬や人間形成を目指します。<修武館より引用>
「抜刀(ばっとう)」とは、日本刀を鞘(さや)から抜き放つこと、またはその抜いた刀を指す言葉です。戦国時代や江戸時代において、不意の攻撃に素早く対応して敵を制するための武術や技術としても発達しました。<Wikipediaより引用>
刀は、海外のお客さんで興味を持っている人が多い。
特に、NETFLEXのSHOGUN将軍がエミー賞を受賞してからは、江戸幕府のや、侍に関しての質問の内容が以前よりも深くなってきた。
居合道の案内は、これまで1度だけ。対して、抜刀は何度か、案内したことがある。
ガイドの私は、通訳としていくのだが、実際の体験中は、師匠がわかりやすいシンプルな英語で指示してくれるので、私は専ら、お客さんのスマホを預かり、カメラマンの役目で終わることが多い。

ざっとした流れは以下のようになる。
まず、体験場所に行き、ケガなど、自己責任ですよという内容の同意書にサイン。
その後、足袋を履き、胴着に着替える。
そして、「大師範」が登場!
ちなみに「師範」とは、武道や書道などの伝統技芸で模範となる指導者や、上位の資格を持つ人を指す言葉。
最初は、模造刀で、振る練習。
そして真剣を持ち、畳を丸めたようなもの、巻藁を斬る。
45度の角度から、刀を振り下ろして、一気に斬る。これがなかなか難しい。
全体的に男性の方が、一気に斬れる事が多い。
女性は、力が弱いのもあるが、途中で刀が引っかかってしまう。
そこで、大師範が、角度やコツを教えて、その後、成功して、めでたく拍手といった感じだ。
最後に、大師範のデモンストレーションを見る。

先生は、上から下から、横から、刀が止まることなく、一気に斬ってゆく。
実際に、自分達の体験の後に見るので、これがいかに大変な技か、よくわかる。
刀の手入れの仕方を教わり、その後、短剣を見せて、腹切りの話しをする。
そして、礼で終了。
大師範は、侍を意識しているので、礼節に厳しい。
巻藁がうまく斬れて、喜んでガッツポーズすると、Samurai is not smiling.(侍は笑いません。)
と注意をして、皆、はっとして、真剣な顔に戻るのがとても面白い。
Copy me(真似してください), Don’t move(動かないで!)とわかりやすい、日本語アクセントでゆっくり指示を出す大師範。
きっと大昔も外国人が侍に剣術を習おうとやってきて、こんな感じでやり取りしていたのかなーなんて一人、お客さんのカメラを持ちながら思いにふけて、笑ってしまいそうになることしばしば。
体験後は、いつもお客さんが皆、興奮状態だ。

先生が侍歩き「居合腰」という、そぞろ歩きを教えてくれた。
膝を曲げて、すり足で歩き、皆で、声を揃えて、「イーアイーゴーシ」と言って、一斉に練習をした。
それを、渋谷のスクランブル交差点で、お客さんが、急に思い出してやり始めたときは私も大爆笑だった。
総じて、ツアーはいつも、体験モノが一番皆、よかったと口を揃えて言う。
それは、案内していてもよくわかる。
そんなガイドとして、カメラマンしかしていない私が、今回とうとう、自分で体験する機会に恵まれた。
やはり、百聞は一見に如かず!!
自分でやってみたら、思っているよりも、ずーーーっと難しかった。

まず稽古着を着る。
元々着ている洋服の上から、上は白の胴着、下は、黒い袴を履く。
刀を差す為に、帯を締めるので、帯が、腰のかなり低い位置にくる。
着替えたら、一気に気分が上がる!
すると、大師範が登場!
彼が登場すると、それまで、コスプレを楽しんでいたモードから抜刀体験の緊張感ある雰囲気にがらったと変わる。

今回は、私の同僚3人での体験。
大師範は、私達の前に姿勢よく立ち、まず礼から始める。
先生の英語の説明は、とてもシンプル。
「今から、模造刀を使って、刀を抜き、姿勢や振り方を教えます。私の真似をして下さい。copy me
わかりましたね?do you understand?」
という感じだ。
そして、腰を落として、重心を低くしながらすり足で歩く、「居合腰」という歩き方を教わる。
大師範は、英語で、「イーアイ ゴシ」といいながら、すり足で進む。

以前お客さんがこれにはまり、渋谷交差点でも真似たものだ。
思い出して笑いそうになったが、今回は自分が体験しているので、笑いを必死にこらえた。
そして、摸造刀という、非鉄金属の合金を素材とした刀を使って、練習。
それぞれの身長に合わせたものを振るのだが、刀は、とても長い。
刀を抜いて、また差し込むという動作が予想以上に困難を要した。
映画などで演じる、侍は、さくっと抜いて、さくっと斬って、さくっと鞘に納めるけど、とにかく難しくて、もたもたしてしまった。
刀を上から下に振るのは、楽しい。
そして、いよいよ真剣を使って、実際に巻藁(まきわら)を斬る。

巻藁とは、稲わらや、わらを巻きたばねたもの。
細長いゴザを丸めて、束ねた感じのもの。
武道で使われる練習道具だ。
自分の身長ほどの高さの巻藁を斬る。
真剣は危険なので、大師範が刀を抜いて渡してくれる。
しなやかな刀だ。

刀を頭の上まで上げて、そのまま、合図で刀を下ろし、巻藁を斬っていく。
今回は、アメリカ人の同僚が、見事に1発でかっこよく斬った!
彼女はいつも穏やかでおとなしいのが、まさかの抜刀の才能を見つけて、びっくりした!
続いて台湾人の同僚の番!
彼女は、1度目は斬れなかった。45度の角度で斬らなくていけないそうだ。
数回、チャレンジして、最後には斬れた!
さて、問題は私だ!!
私は、お客さんの体験を見ていて、自分はきっとできないだろうなって思っていた。
ボーリングとか、こういうものって私、いっつも上手にできないのである。
昔から、不器用なので、なんとなくうまくできないっていう予想をしていた。

実際にやってみて、これは私には無理だなと思った。
45度の角度というのは、なんとなくわかるのだが、実際、斬る時に私は、ほぼ90度になってしまっているようだった。
目線は、斬るところだけを見なくてはならないそうだ。
あとは、集中するだけ。
頭ではわかっているのだが、何度も失敗。
結局、巻藁を3回ほど変えてもらい、最初は、頭と同じくらいの高さだったのに、とうとう、胸の位置までになってしまった!
大師範は、なんとか斬れるようにと奮闘してくれて、申し訳なく感じてしまったほどだった。
そして最後に、ようやく斬れた!!
一瞬で、藁が飛んで、お!!!って自分の目が驚いて、丸くなった!!

やっぱり斬れると快感だ!!
こうして礼で終了して、抜刀体験終了。
難しかったけど、面白かった。
やっぱり改めて、体験モノは、楽しい!
そして、ドラマや映画で侍が刀を使って、出てきたら、見る目が変わるはず!
今後は、ガイドでも一歩踏み込んだ、刀の説明ができそうな気がしている!
というわけで今日は、おしまい!
<思い出ブログ>
去年の今頃、この一家を抜刀体験に連れて行ってたなー


