【海外添乗員の仕事】爆笑のお客さん ”上空ニコチン中毒いらっしゃいませ”

海外添乗員

24歳の時、海外添乗員になった。海外添乗員としてデビューしたその夏は、ちょっとしたカナダブームで私は、毎週のようにカナダを訪れていた。


前回のお話し↓

ちなみに、添乗員の仕事は、帰国して、次のツアーまで7日から10日間あるのだ理想的だ


なぜなら、終わったツアーの精算業務、次のツアーの打合せと準備、時差ぼけの解消ができる。


しかし、季節労働者のお仕事。


毎回、そんな流暢なことは言ってられない。


カナダは、その年、ツアーとツアーの間が3日しかお休みがない時もあるくらい人気のツアーだった。

カナダの美しい国旗


コースは、
東のバンクーバーから始まり、
お花の綺麗なビクトリア島
ロッキー山脈の素晴らしい山の景色と氷河を楽しむ。
そして、ナイアガラの巨大な滝の大きさを船に乗って間近で体感して
日本に戻る、盛りだくさんの8日間だ。


私は、毎週のように顔を出していたので、同じ現地ガイド、バスのドライバー、レストラン、ホテルスタッフに出くわすことも多々ある。


彼らの中には、私がてっきりカナダ在住添乗員だと思っている人も結構いた。


まさか、一度日本の空気を吸ってから、ここに来ているなんてと驚かれた。
お客さんも色々だ。

そんな中、今でも忘れられないお客さんがいる。


カナダ往復が2回続き、ヘロヘロだった私は、行きの飛行機からとにかく寝なくてはと、毛布を被って寝ていた。


すると急に、「添乗員さん!」と揺り起こされた。


機内は真っ暗。何があった??と飛び起きたら、中年女性のお客さんが深刻な顔をしていた。


どうしたかと思ったら、タバコがどうしても吸いたい、あとどれくらいで到着するかと言ってきた。


まだ飛び立ったばかりだったので、7時間はかかると話したら、卒倒しそうな顔になっていた。


タバコをを隠れて吸ったら、煙探知機が鳴り、罰金も課され、あわよくば、途中降機となったら、借金地獄の人生が待っているので、くれぐれも吸わないようにと念を押した。

絶望の表情でとぼとぼ戻っていった。


しばらくたって気になったので、様子を見に行ったら、タバコの入った箱を鼻に押し付けて幸せそうに匂いを嗅いでいた。


とりあえず、解決したと思い、また眠りについた。

するとしばらくして、「添乗員さん!」とまたニコチン中毒のお客さんに起こされた


わざと眠そうに起きたふりをして「どうしましたか?」と聞いた。

すると、
「日付変更線を写真に撮りたいの。いつ見れる?」
というのである。

一瞬、何のことを話しているのかわからなかった。

どうやら、地理の教科書に出てきた、海に引いてある、日付変更線を肉眼で見れるものと思っているらしい。

お客さんは、この線が見れると思っている。


あちゃちゃーー、、、


「お客さん、あれ、線なんか引いてないっすよ」

なんて一蹴しようとしたが、ニコチン不足を忘れるくらい、目が輝いているのをみたら、なんとなく、事実を伝えるのは、酷な気がしてきた。。

到着まで、揺り起こされるのはもう嫌だし、この際、噓も方便と、


「天候や、飛行ルートによっては、もしかして見えるかもしれないので、窓を眺めてみてはどうですか?星もきれいですよ。」

と言った。

とても嬉しそうで、そのまま座席に戻った。


そうはいったものの、私もまた気になり、確認しに行ったら、口を開けて、たばこの箱を片手にぐっすり寝ていた。


よかったー、と思ったのが、気がつけば、到着前の食事サービスが始まっていた。

結局、寝不足のまま3回連続カナダの最終回を気力で乗り切るのであった。

あの噓は、果たしてよかったのか、と今でもふと考えて思い出すとくすっと笑ってしまうことがある。

うん、あれは、あれでよかったのだ!と自分に言い聞かせている。

というわけで、本日のツアーは、これにておしまい。また次回のツアーまで!

コメント

  1. アメリカ より:

    お客さん思いの素敵な対応ですね!きっとその方も今はそんな線がないことは知っているはず。多くの人前で赤っ恥を書かず、添乗員さんが気遣ってくれたんだと感謝していることでしょう!今日もほっこりしました。また楽しみにしています。

    • アバター画像Lovetrip より:

      ありがとうございましたーー。いつも応援ありがとうございます。あの方、もうおばあちゃんの年齢だけど、たばこやめたかなー。笑 

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