今日は、久しぶりにCA時代のネタ。
ある日の、もうしっちゃか、めっちゃかのドラマになりそうなフライトの話しをご紹介!
フライトは、夜の関空を出発して、ゴールドコーストまでの8時間のフライト。
私は、その日、大阪岸和田のだんじり祭りを見に行った。
2011年9月の事だ。
だんじりは、とっても迫力があって、最初、ワクワクだったのだが、私達が歩いた場所が、だんじりの通り道で邪魔だったらしく、イキッている、おじさん達に、「邪魔だー、ドケ――!アホー!!」と怒鳴られて、怖くてそこから気分がへこんでしまった。
そんな中、関空からのお客さんを機内で迎えたのだが、関西弁を話すおじさんをみると、数時間前に怒鳴られた記憶が蘇って、ちょっとドキドキな私だった。
関空を離陸して、シートベルトサインが消えた。
「これから仕事だわー」とスイッチが入った途端、突然トイレから煙探知機が鳴り始めた。
もちろん機内は禁煙。
トイレで、誰かがタバコを吸った疑いが出た。
私達クルーは、安全確認を至急する必要があるので、トイレが閉まっていても、外から、強引にドアを開ける。
すると、煙がもくもくーーー。
「お客様、お煙草をお吸いになりましたね?」と現行犯逮捕しようとしたら、これまただんじりに参加していそうな、サングラスかけた怖そうなおっちゃんがトイレから出てきて、
「は?何言ってんねん?うるさいわ」と威嚇してきた!
相手がだんじりおっさんもどきであっても、今回は、安全にも関わり、悪いのは、おっさんだ。
「今回は私は負けんぞ!」とこっちも怖じ気ないで戦うと戦闘態勢に入った。
「喫煙は危険です。搭乗券を拝見させていただきます。」と取り調べを始めた。
パーサーが飛んできて、質問をするのだが、何せおっさん、英語力0なので、全て私が訳さなくてはならない。
そうしている間に、おっさん、どんどんエスカレートしてきて、「お前、なにもんや、こら!名を名乗れ!」と威圧型クレーマーの典型的パターンになってきた。
おっさんは、タバコの吸い殻をトイレに流している。
その為、喫煙の証拠がないと言い張る。
「というより、この煙が何よりも証拠です。そしてここにおタバコありますよね?」と胸ポケットを指さしたら、反対に私を指さし、大声で「ばかやろー」と言った。
オーストラリアでは、このような態度も十分暴力をふるったと判断され、チーフパーサーが即効キャプテンに報告。
だんだん、おっちゃん、やばいと思ったのか今度は「こら、俺はどうなるねん?」と自分の心配をし始めた。
「警察が来て、罰金やら、場合によっては、日本に強制送還になる可能性もあります。」って言った。
そうしたら、なんとなんと、そのおっちゃん、急にデレーーーーーッて笑って、
「ごめんな、おねえちゃん、ごめーーーーん」
と態度をひるがえしてきたのである!!
うわ!!何?何?なんだこれ??
そして、「アイアム ソー ソーーリーー」って顔の前に手を合わせ、彼を囲んでいた、他のクルーに謝ってる。
ありえん!ありえん!!なんじゃ、こりゃーーーーーーーーーー!!引くわーー!!
一旦、解散となり、おっさんも席についた。
おっさんは、この先の自分を案じ、今度は、自分が、いい人であるとアピールをする作戦を開始した。
私のところに、しょっちゅう現れ、人の事を意味もなく褒め始めた。
そんなんで、騙されるか!!
結局、オーストラリアに着陸後、3人の警察が機内に乗り込み、おっさんを囲んだ。
事前にパイロットから連絡が言っていたので、私達クルーへの威嚇行為や、喫煙行為に関して、厳重注意となった。
相変わらず調子よく、警察にも「アイ アム ソーリー」とニヤっとして、頭下げて平謝り。
この人、こうやって調子よく、今まで社会を渡り歩いてきたんだろう。
引き続き、警察に連れられ、ペコペコ頭を下げているのを、私は機内から高見の見物で眺めるのであった。
それだけじゃなく今回は、フランス人のおっちゃんがラグビーワールドカップを見に行くためにはるばるおフランスから、日本→ゴールドコーストを経由し、ニュージーランドのオークランドに行くと言う果てしない道のりの乗り継ぎでやってきた。
私もフランス語が聞こえて、離陸前は、ワクワクして話していたものの、このタバコ騒動でバタバタになった。
それなのに、このムッシュー、「マダム、マダム、空いてる席どこ?毛布ちょうだい、シルブプレ!」などなどで、「もーー!ムッシュ、お黙りシルブプレ!」と言いたくなる状態だった!
そうしていたら、今度は、別のエリアで、禁止事項となっている、自分で買ったお酒を機内に持ち込み、晩酌始めて、注意されて揉めている!
そして、すっごいガスマスクつけている、白人のひげの長いおじさんもいる。
え?なんだ?と思ったのだが、医療の事情があるとのこと。証明書も持っていたのだが、なんだか、とっても不自然で、もう私の頭も機能しなくなってきた!
やれやれ、ようやくフライトも終わりと、夜間フライトで疲れ切って、飛行機を降りた。
すると、検疫でまた、揉めている、私のフライトの乗客がいた。
なんでも、オージーの男性が、プレゼントにと、恋人に日本で買った花束を機内で渡したのだが、オーストラリアの検疫では、もちろん没収される。
そんなことを知らなかったらしく、ヤンヤと検疫で揉めていたが、私の仕事ではないので、さっさとその場を去った。
いやはや、それにしても、こんなに色々な事が重なる、ドラマ劇場フライトは、なかなかなかったので、すごい経験だった。
皆さん、くれぐれもおタバコは絶対に機内で吸わないで下さい。
本日もご搭乗いただき、誠にありがとうございました!
<思い出ブログ>
タバコをどうしてもフライト中に吸いたくて、もがいていた姿がおかしかったお客さんの話し!
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