こんにちは。
今日は、久しぶりに船の話し。
私が働いていた船は、
「スタークルーズ社の スーパースター カプリコーン号」という。
スターやら、スーパーやらで字面がガチャガチャしている!
カプリーコーンは、山羊座という意味だ。
スタークルーズ社は、船の名前を星座にしている。
「スターアクエリアス号(水瓶座)」
「スーパースタージェミナイ号(ふたご座)」
という船が既にその当時あった。
ちなみに私自身、やぎ座だ。
やぎ座の私が、山羊座号で働いているのである。
航海スケジュールは、4泊5日がベースだ。
以下は、日本人乗客の旅程だ。
1日目 那覇港 出港時間16:00
2日目 台湾基隆港 13時入港 22時出港
3日目 沖縄石垣港 12時入港 19時出港
4日目 沖縄座間味港 9時入港 15時出港 その後19時に那覇港
5日目 那覇港 10時に下船
私は「スタッフサービス」という部署に所属する。
船内では、ショップで勤務だが、寄港地でも仕事がある。
台湾人のための沖縄&石垣、日本人のための台北観光ツアーの添乗員だ。
添乗員と言っても、日本で私が、がっつり、しっかりやったものではない。
バスは、多いと20台ほど出る。
あの小さな石垣島もてんやわんやですごいことになる。
なので、自分の担当号車の看板を持って、あとは、バスの前でニッコリしてればいいだけの簡単な仕事だ。
台湾と中国。
最近もまたニュースになっていたが、ちょっと複雑な話しだ。
国交がないので、船で働いている、中国人は、台湾寄港中は、外に出ることができない。
中国人クルーは、200人ほどだ。
彼らが、台湾観光の添乗員ができないので、フィリピン人と私が、駆り出される。
中国人は、軟禁状態だから大変だ。
ストレスからか、喧嘩をしたり、トラブルになった話しをよく聞く。
あの窓の小さい部屋で、彼らは、10人部屋などの大人数での生活だ。
きっと大変だと思う。
なので、ようやく解放される石垣、沖縄では、「はじけている!」
半端ない。
そんなある日、クルーの集合時間になったのに、中国人3人が帰ってこないという事件が起こった。
私達には、もちろん門限がある。
乗客の集合時間の1時間半前だ。
もし門限を破った場合は、罰として、ある期間、外出禁止令がでて、船で完全監禁となる。
唯一の自由な寄港地の沖縄も出れなくなったら、彼らにとっては大変なことになる。
私達クルーは、パスポートは、取り上げられ、特別許可書の身分証明書を携帯する。
なので、帰ってこない、中国人3人は、パスポートなしで沖縄から消えたのだ。
船はもちろん、クルーを待たずに出港した。
私達は、「事件に巻き込まれた?」「けがをした?」などなど、彼らがどうなったのかとざわついた。
ちなみにこのように、謎の失踪でいなくなることを私達は、
Jump Shipジャンプ シップ と表現する。
この船での呼称なのか、船業界全体で使っている専門用語なのかは、知らない。
今回帰ってこない3人は、全員男性で、中国のふるさとに家族がいる。
一体どうなるんだろう?
そうして、消息がわからないまま、数週間が経った。
ある日、私の働いているショップに読売新聞が販売されているのだが、とある記事が目に入った。
「船の乗組員 中国籍3名、歌舞伎町で逮捕、窃盗、不法入国の疑い」
ぎょぎょーー!
そう、あの3人は、沖縄から、歌舞伎町まで辿り着いていたのであった。
かわいそうなのが、残された、中国人クルーだ。
中国人は、委託会社が採用を請け負っている。
かくして、委託会社のメンツを保つ為に、中国人クルーは、連帯責任として、3か月、完全外出禁止となってしまった。
軟禁から、監禁になった彼らは、本当につまらなそうにしていて、気の毒だった。
改めて、日本という国は、平和であり、色々な国に自由に行けるということに感謝だ。
というわけで、本日のお話しは、おしまい。
本日もご乗船、誠にありがとうございました。
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