本日もご搭乗いただき、誠にありがとうございます。
以前、クルーの仕事には、ギャレー(キッチン)担当とサービスを実際にするカートチームに分かれるとお話した。
その時のお話し↓
本日は、カートチームのことをお話ししよう。
私達の飛行機は、フルサービスではなく、LCCという、格安航空会社だ。
しかし、サービスは、決して格安ではない!
皆、誇りをもって働いている!
フルサービスは、全員同じサービスを提供するが、LCCは、乗客一人一人に提供できるサービスが違うので、これはなかなか大変だ。
では、どうやって、把握しているのか?
それは、離陸前に乗客全員の搭乗リストだ。
満席だと、350名ほどになる乗客数。
リストも、振袖両腕分くらいの長さになる。

リストには、ローマ字で名前、座席が記載されており、最後に、アルファベットのコードが羅列されている。
それがサービス内容だ。
従って、座席以外、何も購入してなければ、空欄。
日本からのお客さんは、JALのコードシェアで搭乗する人も多い。
そうするとJLと記載され、機内食、ドリンク、ブランケットがつく。
座席番号、「47A」の今日のお客さんは、VD、MLと書いてある。
これは、ビデオデマンドと食事のサービスを購入済みということになる。
この長ーーーーいリストの中の、自分の担当エリアをもらい、クルーによっては、蛍光ペンでハイライトしたり、メモ帳に記載したり、それぞれの自分のやりやすいように工夫している。

人によっては、座席を勝手に移動してしまい,間違えてミールを渡してしまったりするとやっかいだ。
食べ物もの恨みは怖い。
特に日本線は、最初の頃、機内食に幕ノ内弁当があって、なんだかよくわからないがとても人気があった。
なので、お弁当が品切れになってから、乗客の間違いに気が付くと、ややこしいのでこれは絶対に避けたい。
なぜなら、間違えたクルーが日本人ではないと、最終的に、日本人クルーが呼び出されて説教される運命にあうからだ。
また、携帯のPOSレジの担当もカートチームだ。
何か乗客が購入したら、クレジットカードまたは、現金の支払いができるので精算業務も担当。

事前購入したお客さんが飲んだドリンクの種類や、機内食の数もレジに記録させなくてはならない。
着陸前は、レジ締めもあり、お金が合わなかったりするとバタバタだ。
ところで、私が飛び始めた当時のクルーの国籍は、オージー、タイ、日本人だった。
割合でいうと、40% 40% 20%くらいだった。
タイクルーは、タイにある、請負会社が採用を担当している。
タイは、世界中色々な国のエアラインにクルーを派遣しているそうだ。
JALの出身者も結構いた。
お辞儀の練習が細かくて大変だっと言っていた。

この会社は、全くそんな練習はない。
タイ人クルーは、バンコクベースだ。
彼らは、2週間ほどの遠征になる。
ホノルル、バリ、ホーチミン、プーケット、日本などをオーストラリアをベースに行ったり来たりの2週間だ。
途中で洗濯をするにしても南半球と北半球の行き来なので、洋服は、それぞれの国が真夏、真冬だと大変だ。

日本では、雪が降っていたのにオーストラリアに着いたら、30度越えで、ビーチにだって行ける。
また彼らは、お買い物が大好きな人が多い。
ハワイ、日本線があると、もう後半の遠征は、スーツケースがパンパンになっている。
タイ人も非常に親日家が多く、日本線は、人気だ。
フライトによって、客層が違うのが面白い。
クルーになって、他のエアライン経験者などから話しを聞いて知ったのが、日本線は、世界で一番楽なフライトらしい。
何よりも、乗客がすぐ寝る!静か!

コールボタンが鳴らない。
なったと思って、座席に行くと、間違って手が当たってしまったということがほとんどだ。
「ソーリー」とお辞儀して謝られたと、日本人のおじさんの上手な物まねをあるクルーがしてくれて笑ってしまった。

また、元々、機内サービスが含まれている航空券を購入している人が多いので、機内サービス中に物が売れないので、レジの精算が楽。
対して、他のフライトは、それと真逆だ。
ハワイ、バリ、プーケットのフライトは、若者も多く、パーティー状態のフライトもある。
お酒がとにかくよく売れる。皆、バーに来ている感覚だ。
コールボタンがひたすら鳴り、居酒屋の店員状態。

ひたすら、機内を行ったり来たりで、プーケットフライトでは、歩いて、プーケットにたどり着いた気分になったこともあった。
バリ線は、特にガラが悪い。
裸足率が高く、臭い。
お酒の持ち込みは禁止で、飲みたい場合は、機内で購入しなくてはならない。
しかし、乗客は、それをけちるためにこっそりお酒を免税店で購入して隠し持つ。
コーラーだけを機内で買って、こっそりそのペットボトルにラム酒などを入れて自家製ラムコークを飲んでいる輩もいる!

私達は、警察官みたいに検問することもある。
ある日、どう見ても酔っぱらっている乗客がいたので、飲んでいるコーラを取り上げ、匂いを嗅いだら、たっぷりのラム酒が入っていた。
アウト!逮捕です。

そして、何よりもバリフライトが最悪なのが、私達クルーはバリに降りることなく、そのまま会社の規定で同じ飛行機で帰らなくてはならないのである。
片道6時間。
タイムラインにすると、👇
16時 機内、出発準備
17時 離陸。機内サービス、忙しい。
23時 バリ デンパサール空港到着。
機内食を積み直し、清掃が入る。その時に、バリの空気を機内から吸う。
夜中1時 再び離陸。乗客が寝付くまでちょっと時間がかかり、あっという間に朝食サービス。
朝7時 シドニーに到着。

本当にこれが辛いのである。
機内アナウンスをするポジションだったある日、この飛行機の行き先の案内を、「シドニーからシドニーです」と自分の状況をアナウンスしてしまったことがある!
国際線クルーの醍醐味は、現地でのステイ!これが醍醐味なので、バリフライトは嫌いだ。
デンパサール空港に行くので、このフライトは「デンパサールフライト」と呼んでいるのだが、今でも、デンパサールと聞くとドキッとする。
朝日が昇る頃、着陸に向け、慌ただしく片付けをし、ようやく自分の家のベットが見えてきて、最後の踏ん張り。
バリを満喫した乗客は、満足そうに飛行機を降りていく。
バリは、自分の旅行で楽しい経験をたくさんしたので、また行きたいなーなんて毎回フライトの度に思う。
今日もバリの空気を少し吸えただけだったなー、と思いながら、早くシャワーを浴びて寝るぞ!と足早に家に向かうのであった。
というわけで、本日もご搭乗誠にありがとうございました。
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