Day 7&8// 2003年6月20日、21日
サハラ砂漠に行った。
地理の時間に習った、教科書の中の異国の地。
私には、果てしなく、遠い場所でしかなかった。
私は、中森明菜ちゃんの大ファンだった。
彼女の歌に、「SAND BEIGE -砂漠へ-」という私の大好きな歌がある。
異国情緒あふれる楽器のイントロで始まり、♪サハラの夕陽をあなたに見せたいー♫
とはじまる。
衣装も、砂漠をイメージする色合いの、民族衣装風でとっても歌と合っていて、大好きな曲だ。
この曲のイメージが私の思い描くサハラ砂漠だ。
そこに自分が実際に行くことになるとは、思ってもみなかった。
モロッコにあることすらもよくわかってなかった。
ちなみに、サハラ砂漠は、なんと、アフリカ大陸の約3分の1を占める。
約11カ国(モロッコ、西サハラ、モーリタニア、アルジェリア、マリ共和国、ニジェール、チュニジア、リビア、チャド、エジプト、スーダン)にもまたがる。
アフリカ大陸の3分の1近くを占め、アメリカ合衆国とほぼ同じ面積である。
びっくりすることしかできない。
私はサハラ砂漠の夕陽がどうしてもみたかった。
どうやって見れるのか?
ザゴラの旅行会社に相談に行ったら、アリという調子のよさそうなおじさんが対応してくれた。
車では、走れないところなので、ラクダと徒歩で行くという。
ガイドさんと、荷物を運ぶ人、ラクダの飼い主さんが一緒についてくるという。
私1人しかお客さんがいないのに、そんなにいるのかなーと思った。
必要なものは、自分の飲料水。自分でこれを運ぶという。私は、大量の水を購入した。
15時頃の出発で、夕陽を見て、テントで砂漠に泊まり、翌朝、日の出を見るという行程だ。
値段は、450 DH (5,400円)の砂漠ツアープラス、そこまでの送迎100 DHの計550DH 約6,600円だ。
アリが、
「これは、いいものが見れるぞ。楽しんでこい!」
なんて笑顔で言うので、きっと、アリは、コミッションもらえて、儲かったんだろうなーなんて意地悪なことを思ってしまった。
値引き交渉もしすぎてしまうと、何せ、私は、女子1人なので、身の危険が伴うかもしれない。
ある程度までは、安全料金として支払おうと肝に銘じている。
砂漠ガイドさんだけ、フランス語が話せる。
ラクダさんの係りと荷物係の人は、アラビア語しか話せなかった。
砂漠ガイドさんは、自分の水を持ってきてなかった。
人のペットボトルに口をつけるので、1本彼にあげた。
ラクダ&荷物係りの2人は、ほとんど水分を取ってなかった。
それが普通らしい。これぞ砂漠の民だと思った。
ガイドさんは、私の持ち物、1つ1つに「これは、いくら?」とばかり聞く。
元々高級品を身に着けてないものの、1000円のTシャツさえ、この国では高いと思われるので、とにかく安く見積もって話した。
そんなわけで、最初は、これで明日の朝まで過ごすのは、大変になるぞーなんて邪念に襲われたが、サハラ砂漠が近づいてきたら、もう広大過ぎて、細かいことをもやもや考えている自分がバカバカしく思えて、気持ちが切り替わった。
雲1つない天気。
夕陽が落ちて、あたりがピンク色の空になった。
地平線に落ちる夕陽にぼー-っとなってしまった。
日が暮れた。
夕陽も綺麗だったが、星空がなんといっても素晴らしかった。
明菜ちゃんのサンドベージュモードから、星空をみたら、なぜか、チェッカーズの「星屑のステージ」が爆音で自分の中のカセットテープから流れてきた!!
プラネタリウムとかの度合いではない。
なんか、星が降りすぎて、線になってるのである。
周りになー---------んにもない、砂漠のど真ん中。
星屑が降ってきて、刺されるみたいな感覚だ。
私達のテントは、物凄く立派なものだった。立っても十分、余裕がある高さだ。
荷物係が必要というのがよくわかった。
大きなテントに男性3人が寝て、私の分もちゃんと別で立ててもらった。
モロッコに来てから、毎日暑くて、鼻血が何度か出る日々が続いていた。
また、1日5回、イスラム教のお祈り時間のお知らせをする、肉声の呼びかけ、「アザーン」がスピーカーから大音量で流れる。
私の泊まった宿によっては、そのスピーカーから近いので、早朝「アッラーフ アクバルー-(アラーは偉大なり)」という雄たけびで目が覚めることがよくあった。
そんな、モロッコの私の睡眠事情だった。
サハラ砂漠のど真ん中は、とっー-------ても静かで虫の音も聞こえない。
風の吹く音だけが、「音」と認識できるものだ。
風のせせらぎが心地よい子守歌になり、モロッコに来て、初めて、暑さを感じずにゆっくり寝られた。
星を寝る直前まで見たかったのだが、私は、ハードコンタクトレンズ使用者だ。
残念ながら、寝る時は、コンタクトを外さなくてはならない。
寝るギリギリまで星を見つめて、名残惜しみながら、コンタクトを外した。
翌朝、目覚めたら、真っー--------青の空と黄色の砂漠の色のコントラストが私の目に入った。
それが、ものすごー---い鮮やかな色で息をのんで見とれてしまった。
荷物を運んでいたラクダちゃんもたっぷり休養が取れたようなので、私も帰りは、ラクダちゃんに乗せてもらった。
砂漠は、孤独だ。
でも3人共、普段は、砂漠に住んでいて、このサハラ砂漠が大好きだと言う。
この住人達に案内されながらここに来れて本当によかった。
また明菜ちゃんのSAND BEIGE -砂漠へ-の歌詞がよみがえった。
「サハラの夕陽をあなたに見せたい」この言葉を今読んでいる、アナタに送ります。
またねー-。
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