Day 6//2003年6月19日
アラブ圏に来ると、私の旅の信念
「信じるものは、自分だけ」
「念には念を」
という思いがより一層強くなる。
とにかく、ある意味、毎日が戦いだ。
このシリーズの最初にも述べたが、私はここにきてから、自分の身をいつも偽っている。
以下は、私のついたさまざまな嘘。
「結婚している」
「ボーイフレンドがフランスにいて、一緒に暮らしている。今回は、私だけ、バカンスでモロッコに来ている」
「職業は、フランスでジャーナリスト」
「フランスの大学で、現在、経済学を学んでいる」
「モロッコの旅行には、ボーイフレンドと来ているが、彼は、今、体調が悪くて、ホテルで寝ている」
「モロッコに友達がいるので、彼らを訪ねにここに来た」
などなど。
全て偽りだ。
でもこれは、正当防衛。
正直でいい人になってしまったら、勧誘などを断るのに大変でキリがなくなる。
彼らは、自分達の目的を達成する為に、楽しい話しで時間をかけて、私の心をまずほぐす。
そして、本題をクライマックスに持ってくるのだ。
それは、夕食の招待、お店の勧誘、自分がガイドをする、など。
あー、やっぱり、そうきたかーと私のほぐれていた心が一気に、鉄の固さに戻り、防衛機能が働き始める。
お誘いは、どんなに良さそうな人でも断る。それも早めがいい。
遅くなればなるほど、断りにくくなるからだ。
人を信用できないのは、残念だが致し方ない。
ここで、本当の友達を作るのは、無理なようだ。
でも、皆、基本的には、とてもいい人達ばかりだ。
ただ、私は、結局は、先進国日本の観光客なのである。
アラブ語を話せれば、もう少し、対等な立場になれるのかもだが、所詮よそ者だ。
ツーリストである以上、互角には色々な面でなれないという現実を改めて知る。
Day 6 続き// 2003年6月19日 午後
モロッコのSOUK(スーク)は、楽しい。
スークとは、市場の事だ。
私は、どの国に行っても、必ず、市場に行く。
地元民の生活がわかるし、人々が皆、「生きてるなー---」という生命力を受けるこの感覚が好きだからだ。
ちなみに私は、今、ZAGORA ザゴラというところにいる。
アラビアのロレンスの町、ワルザザートから3時間ほどかけてまた地元民いっぱいのバスに乗って着いた場所だ。
35DHだった。420円ほど。
ZAGORAのスークは、暑い青空の下でやっていた。
とにかく暑い。熱い。もう40度以上の灼熱だ。
野菜、果物、洋服、ガラクタ、お茶セット、お盆、靴。こんなものが売られている。
異国情緒を感じるのは、羊や馬、ヤギ、ロバの売買を見る時だ。
いくらなのか、見当もつかない。
モロッコは、まだまだ、馬車やロバが車代わりの重要な役割を果たしている。
そういえば、変な人祭りだった、マラケッシュの鶏肉屋さんは、強烈だった。
鶏が、檻にいっぱい詰められている。お客が指を指して、その中の鶏を選んで購入する。
すると、まだ小学5年生くらいの男の子が、鶏を檻から鷲づかみにして、取り出す。
そして、躊躇なく、くちばしに自分の指を入れて、窒息死させる。瞬間の出来事だ。
それから、ご臨終となった鶏が専用の機械に入れられる。
羽がバサバサ落ちて、もぎ取られている。
どひょー---
血の気が引く。
そして、内臓を解剖して取り出し、お客に渡す。
注文してからここまで、ものの5分の出来事だった。
「新鮮」な鶏肉の売買が終わった。
なんだか、モンペリエの大学の授業で、
「狩猟に反対か、賛成か?」
「動物を殺してまで、肉を食べる必要があるのか?」
なんてディスカッションしていたのが、2カ月前なんて信じられない。
あまりにも世界が違いすぎて、遠ー---い異国の話しに聞こえてくる。
まあ、そんな、めまいがしそうな場面も含めて、やっぱり、スークは、いい!
「私、今、生きてるー--」」っ実感するのである!
さあ、明日は、サハラ砂漠に行く!楽しみだ。
次回をお楽しみ!
↓
コメント