添乗員時代、「ロスバゲ」に結構あった。
ロスバゲとは、ロストバゲージの略語。
機内で預けた、荷物が行方不明になることだ。
添乗員の研修で、ロスバゲは、乗り継ぎがある場合、よく起こると教わった。
機内持ち込みの自分の荷物には、それに備えて、下着も含め、1泊分、困らないように入れておきなさいと言われた。
「そんな、大袈裟なー。」なんて思っていたが、結構な確率で当たった。
それも添乗員の自分だけがロスバゲになることも数回あり、困った。
預け荷物受け取り用のターンテーブルが止まり、自分の荷物がないとわかると、チーーーーンとなる。
税関を出る前に、行方不明の荷物の手続きをしなくてはならない。
荷物が来たお客さんを、空港お迎えのガイドさんにお任せして、自分は、荷物の来ないお客さんの対応にあたる。
これがまた、海外あるあるなのだが、手続きの書類作成が異常に時間がかかる。
そして係員は、絶対に謝らない。
スーツケースの色、形、特徴などを申し出る。
今日泊まるホテルの住所も書く。
今晩、荷物が届けばいいが、厄介なのが、移動しまくるツアーの時だ。
例えば、今、ここがパリだとする。
荷物が次の便で来ることがわかり、今晩泊まる、パリのホテルに荷物が届けばラッキーだ。
日本人のツアーは忙しい。
パリを2泊してから、次にイタリア、更に、ロンドンに移動なんてなると、ややこしくなる。
通常、ロスバゲがわかった時点で、どの飛行機にその荷物が搭載されていて、いつの便で届けられるか、かなり明確になっていることが多いのだが、たまー-に、行方不明で、今現在の時点ではわからないなんて言われると、途方に暮れる。
お客さんは、イライラしている。
特に女性だと、洋服も旅行に合わせておしゃれなものを用意している人もいる。
明日の夜は、オペラ鑑賞が入っているツアーで、荷物が届かないとする。
もう、私のせいじゃないよ、本当に勘弁して!と航空会社を本気で恨む。
その日の夜に荷物が届くのは、いいのだが、お客さんは、先に寝るので、添乗員の私が代理受取人になるもんだから、こっちも寝不足でのツアーの始まりなので、大変だ。
また、自分の荷物だけロスバゲになるパターンも大変だ。
そのせいで、お客さんを待たせることになる。
でも、私のせいではない。
私も海外の空港地上職員のように、「私が悪いのではない!」と堂々とできればいいのだが、ついつい日本人の悪いクセで、「すみません、お待たせしましてー-」なんて弱腰になってしまう。
2月のある日、寒ー----------いロンドンの学生ツアーで、私の荷物だけ、またロスバゲになった。
それも、行方不明中。
ガーーーん、、、
ただ、幸い、ロンドンに5日ほど滞在のツアーだった。
直行便だったら、よかったのだが、何故かエールフランス便での成田ーパリーロンドンでの飛行だった。
エールフランスは、添乗員になる前は、物凄く優雅で、素敵なエアラインだと思っていたが、ストライキは、多くて、しょっちゅう、フライトが変更になるし、ロスバゲも多くて、自分のツアーが、エールフランスの乗り継ぎのツアーと知ると、気が一気に滅入った。
(あくまでも私が利用していた当時の話しだ。)
ロスバゲがわかったロンドンの空港で、また、いつものように手続きをした。
もう書類の記入もエールフランスのフォーマットは、何度も書いているから、秒速で記入が終わった。
そして、「どうぞ」とアメニティを渡された。
それは、ポーチで、開くと、左側に洗顔クリーム、かみそり、歯ブラシなどが入っていた。
右側には、薄ー-------------いスケスケ生地の白いTシャツが入っていた。
凍える寒さのロンドンで、私は、そのTシャツをパジャマ代わりにして、翌日の観光でも、スーツのジャケットの下にシャツ代わりとして身に着けた。
一度ロスバゲを経験すると、しばらく、トラウマで、空港に着くたびにドキドキする。
逆に帰国便でロスバゲになることもある。
ただ、日本の場合は、どのエアラインもしっかり、地上係員が対応してくれる。
「ご迷惑をおかけして、申し訳ございません。」とセリフもちゃんという。
なので、お客さん対応も全てお任せできるので、私は、横についてるだけでいい。
そして荷物も、自宅に宅配で届くので、身軽に帰れる。
自分がロスバゲになっても、ツアー中とは違って、心に余裕がある。
ただ、数日後にまたツアーがあると、余裕なんて言ってられない。
洗濯も大急ぎでしなくてはならないし、精算の書類もスーツケースに入っていたりするので、また胃がキリキリする。
そんなわけで、ロスバゲは、本当に勘弁していただきたい。
航空会社の皆さま、どうかどうか、よろしゅう、お願いいたしますー-。
というわけで、本日はおしまい。
またねー-
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