【客室乗務員】過酷な訓練生編 5回シリーズ 第3回 ”モックアップ”って知ってる?

客室乗務員

33歳の時、客室乗務員(キャビンクルー)になるチャンスを得た。 必死に訓練に追われる日々だった。

前回の話

保安訓練も終盤に差し掛かってきた。

1番大変だったのが、「モックアップ」という、実際の機体模型を使う訓練だ。

グループに分けられ、機内での各ポジションで緊急事態が起きた時に動けるように訓練される。

教官が、色々な想定を仕掛けてくる。

まず、各々、機内サービスをするふりをするところから始まる。

私の好きなチキンor ビーフの食事サービスだ。

すると、ギャレー(機内のキッチン)から煙もどきなものがモクモクと出てくる

そこで、私達は、「機内が火事になった想定」で実際に動けるかを試されていると判断する

そこで、消火器を持つクルー、

パイロットに連絡するクルー、

乗客を誘導するクルーなどに扮して、

何をすべきか即時に判断して動かなくてはならない。
それができるかどうかを教官にチェックされるのだ。

火事に関しては機内の壁などをはがす時に使う、消火用の斧、消火時に煙を吸わないようにする被りものや、耐火用のグローブもある。

こういう仕掛けは、他にもあって、酸素マスクが落ちてきたり、窓の外が赤くなると外が火事ということなので、その際にどうするかなど、自分に何がくるかドキドキなのである

知識は学んだが、いざやるとなると体が思うように動かない。

もう1つ大変なのが、緊急脱出のロールプレイだ。

これは、大きな声を出して、乗客脱出の誘導をするのだが、その時のセリフを、一字一句間違えてはいけないのである。

地上での脱出編と水上での脱出編がある。セリフも微妙に違うので、大変だ。

Evacuate, Evacuate, Evacuate (避難、避難、避難)というフレーズから始まり、結構な長さを覚える。

緊張感MAXだ。

そして、Ditchingという、川や海などに着水した場合の想定としてプールでの訓練もあった。

つなぎを着て、脱出シューターと呼ばれる緊急脱出の際の滑り台を滑り落ち、着衣のまま水の中で泳ぐ。

Escape Slide(緊急脱出スライド)を飛行機から切り離し、Raft (救命ボート)として使用するときの方法や水の中でのサバイバル法などを学ぶ。

クルーは、機内を隅々まで取り残した乗客がいないかを確認してから、ビーコンというものをもって脱出する。

これは、位置情報みたいなもので、電波を発することによって、無線局などに居場所を知らせることができるものだ。ちなみに灯台も大きなビーコンということを知った。

また、サバイバルキットの中には、海水を飲み水にできるものもある。

面白いと思った教えがある。

状況は、全員が海のど真ん中にライフジャケットを着用して落ちて、漂流しているというところから。

その際、乗客の中から、リーダーシップを取る人が出てくる可能性があるだろうと。

例えば、先生とか、軍に入っていた人とか、職業病、仕切りたがる人がしゃしゃり出てくると。

しかしながら、あくまでも飛行機の中では、イニシアティブをとらないといけないのは、我々クルーだ。

従って、初めに

”I am your commander ”私があなたたちの司令塔だ!

とはっきり立場を明言すること!そして

どんな状況下でも、クルー1人1人が自覚を持ち、責任を持てという教えだった。

漂着してしばらくたってくると、不安からざわついてくるので、その場合は、歌を歌って皆のモチベーションを上げろと言われた。

色々な国籍がいる中で選曲はどうするんだ?やっぱり、スキヤキSONGか?なんて思ったがちょっと質問できる雰囲気ではなかった。

また、地上に墜落した際も水上でもそうだが、昼と夜では、状況が違うので、暗くなったらトーチを使って照らすことや、気温が低くなる中、体をくっつけて体を温める方法などを教わった

離陸前に流れる、非常用安全設備の案内で、私の航空会社は、実際に乗客の前に立ち、デモンストレーションをする。

乗客にちゃんと見てもらうように、しっかりやる。

クルーになってから、きちんと見るようになった。

訓練が始まって、とにかく、何度も何度も言われたことは、

Safety is our #1 priority 何よりも安全第一!だ。

こうして、6週間のうちの5週間の保安業務の訓練が終わった。

緊張の最終筆記試験、落ちこぼれだった私が、なんとなんとなんと

満点だった!!

ひょーーーーーー!!

教官がそれはまあ、喜んでくれていて、改めて私ってやばかったのねーと思った。

こうして、一番の難所をなんとか潜り抜け、サービスの訓練を残すところまでたどり着いた。

夢のスッチーがみえてきた!

というわけで、また次回まで。本日もご搭乗誠にありがとうございました。

次のストーリ↓

コメント

  1. アメリカ より:

    I’m your commander 覚えてる!!私が話すときは聞けっ!!ってセリフあったね 笑。もう、墜落後のサバイバルはミリタリー状態よね。そしてしゃしゃり出てくる奴には見張り番を命じなさい、とも言ってたね 笑。訓練、こうしてみるとかなり壮絶だったね。改めて記憶が蘇る。。。

    • アバター画像Lovetrip より:

      なんだか本当に懐かしいよね。一回思い出したら、記憶がはらはら降ってきたよーーー。がんばったよねーー。なんか青春よーー。

  2. […] 【海外就職】スチュワーデス物語 訓練生編3 […]

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