前回、ブッシュ前大統領の話しをしたら、シドニー時代のフラットメイト、ピータートニーのこんな話しを思い出した。
(前回のリンクとピーターパンの過去の記事はこちら↓)
2007年の9月、APECがシドニーで開催されるため、警備がすごい事になっていた。
私は、キャビンクルーの仕事をその当時していたので、空港近くのいわゆる、シドニー郊外に住んでいた。
そのため、交通規制の影響はさほど受けなかったが、車通勤している、多くのクルーやパイロットに対して、この日の出勤の際、交通規制に気を付けないと、フライトに間に合わないよ!という通達があった。
特に、アメリカのブッシュ大統領を迎えるにあたっての警備が、物凄かった。
そのブッシュ大統領と我がフラットメイト、ピーターパントニーが、なんと「ランチ」をした!
彼は、AIR FORCEという自衛隊のような組織で働いている。
そのメンバーが、ブッシュ大統領とオーストラリアのジョンハワード首相の「昼食会」に招待されたのだ。
トニーがそれを私に話した時、別にブッシュ大統領のファンでも何でもないのだが、私の方が結構興奮してしまった。
そういうめったに出来ない経験をできるのは、素晴らしいことだし、現場の生の雰囲気を味わえることは貴重な経験だと思った。
トニーは、「まあねー、でもブッシュだしねー」という感じだった。
ところがどっこい!
帰宅した時には、かなり興奮気味で、「グレート!グレート!」を連発している。
そして、テレビのニュースをつけだした。
そこには、ブッシュ大統領がスピーチしている時のアングルにちょうどトニーの顔が半分、たまには、全部映しだされていて、ビデオを撮りだす始末。
一般市民のインタビューで、「大統領がくるからってこんなに警備するのは、やりすぎだわ。
今日もバスが物凄く遅れて、会社を遅刻したわ」なんていう意見が出ると、トニーは、
「それがどうした!アメリカ大統領がくるから当たり前だ」なんという始末。
出た!この単純男!
そんなわけで、しばらく、ブッシュがテレビに出ると、「ランチを一緒にしたんだ」と子供のように自慢している日々だった。
ちなみにこの当時の日本の首相は安倍首相だったが、特にニュースにはならなかった。
オーストラリアの生活では、政治の問題を話すことはほとんどなかった気がする。
フランスの時は、毎日が、「激論!朝まで生テレビ!」状態だったが、これはお国柄なのか、環境の差なのか?
確かに、パイロットのおじさまで、たまに政治問題が好きな人がいるが、オージークルーのほとんどは、全くといっていいほど、政治問題に興味がないから、話しにも出なかった。
しかし、2009年にオバマ大統領が誕生した時は、クルーの間でもちょっとニュースになった。
私は、その日、オフで、シドニーのおしゃれなカフェに行ったのが、男性を中心に、コーヒーを飲みながら、オバマ大統領誕生の新聞を読んでいる人が多かったことを覚えている。
私は、2003年のイラク戦争からブッシュに対して、フランス人のクリスティーン達と同様、不信感を持っていた。
なので、ようやく新しい爽やかな大統領になり、なんだか嬉しかったという記憶がある。
まさか、その後、トランプという人が大統領になるなんて夢にも思わなかった。
なぜかといえば、その当時、彼をよくテレビで見てたからだ。
トランプは、テレビの番組で司会をしていた。
「アプレンティス」という番組だった。アプレンティスとは見習いという意味。
一般からの参加者が見習いとして番組のホストをする会社で働き、社員として採用されるのを目指すというものだ。
複数人選ばれた参加者が毎週一人ずつ脱落していき、最後に残った方が実際に社員になれるという企画。
脱落者に対して、実業家のトランプが、偉そうに、「You’re fired!(おまえはクビだ!)」と、高らかにいう。
この名ぜりふで人気だった。このアメリカの番組が、オーストラリアでも放映されていた。
そもそも、私は、このおじさんの態度や顔が好きではなく、ちゃんと番組を見たことはなかった。
ましてや、数年後、アメリカの大統領になるなんて、私も含め、世の中の誰1人、思ってなかったと思う。
というわけで、今日のお話しは、おしまい!
またねー。
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