1997年の4月の23歳の時、私はクルーズ船で働いていた。
(過去3回の記事↓。)
船で働くと決まった時、船酔いは大丈夫だろうかという懸念があった。
スキューバーダイビングをした時や、体調が悪い時に船酔いしたこともあったので気がかりだった。
船は、豪華客船みたいだったが、それでももちろん揺れる。
特に、私たちの船は、沖縄と台湾の行き来。そこは、台風がよく通るのである。
シーバンドとはご存じだろうか?船酔いを防ぐための秘密兵器だ。
指圧の原理に基づいたリストバンドで、「内関」と呼ばれるツボにあたるようバンド着用し、手首にあて、気持ち悪くなりそうになったら、それを押すのである。
ネットでみたら、この「スッキリバンド」というのが近かった。👇
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私は既に、ツボの場所を体で覚えたので、シーバンドなしでいける。
台風が近づくと3日前くらいから、船の揺れ方がいつもと違ってくる。
5カ月もいると、サーファーみたいに感度がついて、波の違いがわかるのである。
波乗りMutsi(ムッツィー)だ。
私達が、船底に住んでいるのは、以前話した。(過去リンク参照)
船は、低層階は揺れないといわれているが、それは、あくまでも客室の話しだ。
半地下の船底は、丸窓から見える景色が、半分海につかっている。
それがゆらゆらするのでつられて気持ち悪くなるのである。
ある日の夕方、私は、フィリピンシェフのあまりおいしくない、クルーメス(私の階級の食事場所)で同僚と食事をしていた。
台風が近づいているようで、左右船体が揺れて、頭が痛い。
台風が通過するまでこれが数日続くと思うと憂鬱になってきた。
ところで、フィリピン人は、いつも明るく、親日家ばかりだ。
私は、600人中の4人の日本人クルー。
そのうちの2人は、階級が上なので、トモコさんと私の2人しか、クルーメスに来ない。
なので、ニッポン代表として人気者に勝手になる。
みんな、いつも「もしもし、トモダチーー」と声をかけてくる。
有名人になった気分だ。
そんなわけで、その日も知らないフィリピン人に囲まれながら、食事をしていた。
この日の食事は、なんだか材料が揃わなかったとかで衝撃のメニューだった。
ビュッフェだが、3つしか選択肢がない。
- 白いご飯
- 鶏の足をただゆでたもの。チキンレッグなんて素敵なものではない。止まり木につかまっているあの5本指の足だ。
- 鶏の足を、醤油みたいなよくわからない、フィリピン特製茶色いソースで煮詰めたもの。
要するにごはんと鶏の足だ。👇生々しい写真だが、本当にこんな感じなのである。
私は、子供のころに、ゴン太とウメ子という、つがいの白文鳥を飼っていた。
チンネンという子供が生まれ、手乗り文鳥にして可愛がった。
鳥には、思入れが人より強い。
その夕食に出てきた大量の足は、あまりにも痛々しく、なんだか、めまいがしてきた。
これは、台風のせいもある。
困った、食欲減退。。
「オフィサーメス(階級が上の人の食事場所)で食べた方がいいかも。」と思い始めた。
しかし、ここまできたので、白いお米だけお皿に乗せて黙って食べた。
すると、隣に座っていた、知らないクルーが「もしもしトモダチーーー、ハロー」と元気に話しかけてきた。
彼は、ごはんの上の左側にゆでたピンクの足を1つ、右側に茶色い足を1つ綺麗に並べていた。
そして、
「みてみて、おいしいよーー。Play the piano ピアノ弾いてるよーー」
と言ってきたのである。そして、本当においしそうに食べていた。
ぎょーーーーーーーー
アウトーーー!!
もう耐えられず、食欲も失い、シーバンドでツボを押しても、どうにも効かないので、半地下の部屋に戻った。。
あのおかずは、みかけはグロテスクだが、きっと出汁がたっぷり出て、美味しいんだと思う。
彼の「おいしいよー」に噓偽りは、なかった。
しかし、ビジュアルが悪すぎた。。
私はどうやら、深刻な船酔いに突入したようだ。
そんなわけで、その日は、病欠し、船底でひたすら眠った。
この出来事は、もう24年前の話しだが、今も鮮明に覚えている。
というわけで、本日もご乗船誠にありがとうございました。
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