ナマステ―(こんにちは!)
インド8日間の旅、今日は、第6回目!

これまでのお話し。
- 入国で大騒ぎ編
2.インドの道中、はちゃめちゃ編
3.インチキ占い師にぼったくられる!
4.美味しいカレーを楽しんだけど、その残飯を頼りに生活をしている人を見てショックだったこと。
そして、
5. ヒンズー教の聖地、バラナシに流れる、ガンジス河のある、バラナシへ到着。暗闇の中、ようやくガンジス河のほとりに建つ宿へ到着。
こうして、翌朝、ガンガー(ガンジス河)を船に乗って、朝日を見る事に。
6時前に起床。
宿の目の前が、ガンガーという絶好のロケーションの宿。
ボートに乗って、1時間、朝日を拝みながら、川岸の人々を観察。

早速、沐浴していたり、シャンプーをしていたり、体を洗っていたり、洗濯をしていたり、何でもありだ。
ガンガーは、生活に入り込んでいる。
河には、「ガート」と呼ばれる岸辺から階段になって河水に没している堤があちこちにある。
ここは、沐浴する場所として使われたり、中には、火葬場になっているガードもある。
大きなガートでは、集団でお祈りしている人もいれば、ヨガをしているグル―プもあったり、色々な人間模様が繰り広げられている。

ガンガーから昇る朝日は、この雰囲気に飲まれ、なんだか神がかって見える。
こうして、あっという間のボートでの旅を終え、宿の屋上のテラスで広いガンガーを見ながらの朝食をして、今度は歩いて、ガンガーを廻る。
大きなガートでは、市場が開いていたり、いろいろな正体不明の団体がいたりで、賑やかだ。
もちろん、神聖な動物として崇められる牛さん達も、のそのそ歩いている。
また、その中に、サイババみたいな恰好の人もいて、なんだか映画のセットに迷い込んだようだ。

そんな中、いよいよ火葬場へと近づき、緊張が走った。
近くに行こうとしたら、突然そこにいた、インド人に、写真と本は、カバンに戻すように言われた。
写真はもちろん撮ってはいけないのは、知っていたが、なんで本も隠さなくちゃいけないんだろうと思っていた。
でも、すぐ近くで、死体を焼いているであろう煙が上がっているので、つべこべ考えている暇はない。
慌てて、ガイドブックをしまった。
すると、今度は、「100ルピーをここで払え」と命令口調で言われた。
ここでは、お金を払う必要はないところと聞いていた。
無視してそのまま進もうとすると、立ち塞がられ、嫌がらせをされた。
場所も場所で争いたくなかったので、その近くから、眺めることにした。

布がかぶせられた死体が、河のほとりに次々と運ばれてきた。
オレンジの布は、女性、白い布は男性とのこと。
この時は、オレンジの布、つまり、女性が多く運ばれているようだった。
その周りに家族がいて、布から、顔が見えた。
その顔を見ながら、別れを惜しんでいるようだった。
それから火がつけられていった。
突然、脳裏に、母の最期の場面が出てきてしまい、私は、泣き始めてしまった。

すると、さっきの嫌がらせをしたインド人が、
「泣いてはいけないよ、マダム。泣くと、死者があの世に行きづらくなるから。女性は感情的なので、ここまでこれるのは、男性のみなんだよ」と話してきた。
「なるほど」と思いつつ、ここでうなずいたら、最後はガイド料を請求してくるはずだ。
彼の手の内が見えていたので、ひたすら無視し続けた。
泣いてはいけないと言われていたが、家族の男性も、こらえていたが、最後は泣いていた。
そりゃそうだ。誰だって、最愛の人をなくしたら、男女関係なく涙は出る。
そんな光景を見ていたら、母の火葬の場面が蘇ってきてしまった。
困った。やっぱり涙が止まらなくなった。

それにしても、驚いたことに、次から次へと死体がやってくる。
話によると、身分の高い人は、高台のところへ、そうでない人は、下手で焼かれるという。
死んでからもこうしてカースト制によって差別されていて、でも最後は皆、ガンガーで一緒に流される。
それは、まさに、遠藤周作の「深い河」で述べられているものだった。
そんな中、突然牛が目の前で交尾を始めた。
それをまた、あの嫌がらせをしてきたインド人達が卑猥な日本語で表現して、私達を刺激しようとしていた。
死体が焼かれる中で、牛が交尾という、これから命が誕生するかもしれない行為をしている。
その中で観光客の私達からお金をせびろうとする嫌なインド人もいれば、愛する人を失い、純粋に嘆き悲しんでいる人もそこにいる。
なんだかここは、生も死も、悪も善も、色々な全てが一緒になっている。

いわばこれぞ私達が生きている人生、世界の縮図?うまく表現できないが、強烈な体験だった。
案の定、去る際に、またお金を請求された。
無視し続けていたら、嫌な日本語をたくさん浴びさせられ、気分が悪くなった。
落ち着いてから、ガイドブックを読んだら、まさに私達が経験したようなストーリーが出ていた。
「とにかくお金を請求されても絶対に渡さないように」とアドバイスが書いてあった。
あの、インド人達は、それが書いてあるのをわかっていたから、本をしまえと言ったのだろう。
本当に嫌な思いをしたが、これがガンガーの洗礼なのだろう。
こうして、今度は、町に戻り、生きている人達の息遣いがいっぱいのマーケットなどを見た。

とにかく相変わらずの人混みに動物、車、自転車、バイク、全てがごちゃまぜ。
これがインドだ。
途中で間違って、またあの火葬場のあたりにきてしまった。
自分のすぐ目の前を布を被された死体があとからあとから、次々とくるので、逃げるようにその場を去った。
ここは、死がとても身近にありすぎた。
私も両親を亡くし、ある意味、死が身近なものになった。
死は誰にでもくるものであり、人生ははかなく、短いものだ。
だから、どうだというわけではないのだが、その事実をただただ胸に刻んだバラナシ。

本当に強烈な体験だった。
きっと今日もガンガーは、同じ風景だろう。
少しは、道が整備されていたり、ビルが増えているかもだが、ガンガーのほとりは、何も変わってないと思う。
合掌。
<思い出ブログ>
もうすぐ、16年が経ちます。