世界のガイドさんから学ぶ話術

海外添乗員

本日もMutsi ツアーにご参加いただき、誠にありがとうございます。

添乗員では、26か国、98都市を5年間でめぐった。

各地でたくさんのガイドさんに出会った。

日本語を話す、現地の人であったり、日本人で現地に住む人もいた。

いいガイドさんとは、「楽しいお話しができる人」だと思う。

もちろん、その前提には、知識があってのことだ。

忘れられないガイドさんのエピソードがある。

フィレンツェのウフィツィ美術館に行った時だった。

よくこういう時ガイドさんは、「くれぐれも作品に触れないようにお願いします。」という。

しかし、このガイドさんは、

「皆さま、もしここにある作品に万が一、触れてしまい、トラブルになった場合は、皆様のひ孫の代まで続く、長ーーーーーーーい借金生活が今日から始まります。

皆様のお子様、お孫さんたちに迷惑をかけないようにくれぐれもお気を付けください」

とさらっと言った。

ガイドさんの後ろで、有名なボッティチェリのヴィーナスが微笑んでいた。

自然にグループ全体が、作品から一歩下がっての美術鑑賞となった。

次は、ドイツのハイデルベルクのガイドさんのお話しだ。

ハイデルベルクは、ドイツ最古の大学ハイデルベルク大学がある美しい街だ。

その日のガイドさんは、60歳くらいの日本人女性だった。

ヨーロッパによくいる、サバっとしたタイプのガイドさんだ。

マイクを持って、開口一番、「おはようございます。私はブスガイドです。」と突然言った。

まだ人となりを知らない時点でいきなり、にこりともしないでいうので、お客さんがフリーズして、リアクションに困り、シーーーんとなった。

そうしたら、「バスは、ドイツ語でブスと言います。なので、私は、皆さんの本日のバスガイドですよ。」と微笑んだ。

緊張の空気が一気にゆるんだ。

つかみが強烈だった。

カナダのナイアガラの滝では、滝が見えるビュッフェのレストランに行く。

ここの食事はとても美味しく、私もいつも楽しみにしている。

ガイドさんが、

「皆さん、今日のお食事は、ビュッフェです。何度、取りに行ってもいいですからね。

日本人の皆さんは、1回勝負と思うのか、前菜の上にメインのおかずをのっけて、山盛りの最後に、デザートのケーキまで乗せて、タワーのようなお皿を倒さないように慎重に歩く人が多くて目立ちます。

どうぞ、ご無理なさらず、何度でも取りに行ってください。」

と毎回話して、笑いを取っている。

あと、もう一つ、ナイアガラの滝のある、ナイアガラ川は、アメリカのニューヨーク州とカナダのオンタリオ州の国境が川の真ん中に引かれている。

橋を渡れば、カナダからアメリカに行ける

ニューヨーク州の飲酒年齢は、21歳。

ナイアガラのある、カナダのオンタリオ州は、19歳だ。

ということで、ニューヨーク州の19、20歳の若者は、お酒を飲みに、橋を渡って、カナダに来るという。

そこでいつも、ガイドさんが、「これが本当のはしご酒」というオチでお客さんを笑わす。

そして、100%笑いを取る。

私は、ある夏、カナダに2カ月間、毎週のように通って、このツアーを担当した。

このガイドさんの話しも毎週のように聞いていた。

でも、毎回、笑ってしまった。

ところで、地名というのは、すぐ忘れる

私も98都市言ったと偉そうなことを言っているが、記録していたから、覚えていた。

大都市や、超有名な場所は、覚えていても、ほとんどの地名は、思い出すのに苦労をする。

観光地の名所も名前がすぐに出てこないことが多い。

しかし、そんな私が今でも忘れない、カナダの氷河の名前がある。

アサバスカ氷河」だ。

これは、ガイドさんが、

「おはようございます。

今朝は、集合時間7時にしっかりお集まりいただき、ありがとうございます。今日は、氷河を見に行きます。

氷河の名前は、アサバスカ氷河と言います。

朝、バスに乗って行くのか、氷河に!アサバスカ氷河と覚えましょうーーー」。

そして、23年経っても覚えている。

考えてみれば、1192作ろう鎌倉幕府(今は違うらしいが、)もまだ覚えている。

それと同じことなんだろう。

そんなわけで、自分が外国人旅行者にガイドをする時も、こうやって面白く、わかりやすく印象に残る話しをしたいなと思っている。

色々なガイドさんを見れたおかげでとても勉強になった。

何事も改めて、人生無駄なことはないなと思う瞬間だ。

本日もMutsiツアーにご参加いただき、誠にありがとうございました。

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