今日のお話は、ちょっと色々考えさせられた事。
その日、4時間の半日都内観光のガイドをしてきた。
ニューヨークから来た、32歳の三つ子の兄妹(男性2名、女性1名)にご両親の5人。
朝の通勤ラッシュをくぐり抜けながら、電車を使って、明治神宮→原宿→表参道を回り、渋谷スカイビルに行って、大都会の景色を見た。
天気も良く、皆もとても楽しんでいたようだったので、一安心。
渋谷のドン・キホーテでお別れした。
13時だったので、ランチを食べようと思ったのだが、その日、地下鉄&JRの一日券を使っての観光だったので、私の手元にそれがある。
せっかくなら、次のガイドで行く予定の浅草を下見しに行こうと、始発の渋谷から銀座線に乗った。
一番後ろの車両の空いてる席に座って、一息ついた。
ガイド業が終わって、ほっとしてリラックス。
すると、白人男性2人が乗車してきた。
1人は、自転車のようなものを持ち込んでいた。
体が不自由なところをみると、車椅子の類のものかなと思った。
すると、出発準備をしていた車掌さんが、それを見つけて、すごい怖い顔で、
「お客さん、これは、車内に持ち込めませんよ。」
と怒鳴った。
2人は、This is Wheelchair(これは車椅子です。)と答えた。
しかし、車掌さんは、どうやら全然英語がわからないいようで、ますます、怖い顔をして、「早く降りてください。困りますよ。」と一方的に言う。
なんだか、いたたまれなくなって、私は立ち上がって、「これ、車椅子のようです。持ち込むことはできないのでしょうか?」とその車掌さんに尋ねた。
ほんの10分前までガイドをしていたので、ガイドのスイッチがすぐに入った。
既に、電車の出発時刻。車掌さんが、ベルを鳴らして、地上係り員を呼んだ。
3人の係員がやってきた。
双方の言い分は、以下の通りだ。
まず、日本では、この外国人が持ち込んだサイズの車椅子は、自転車と同じ扱いになるので、カバーをつけなければ持ち込めないそうだ。
そもそも改札をどうやってすり抜けたのかなって思ったが、カバーがないと、乗せることができないという。
カバーは、駅にはないので、いずれにせよ、渋谷の町のどこかで購入しなければならないとのこと。
外国人は、オランダから来たそうだ。
車椅子の彼は、体が麻痺している感じで、動くのも話すのも、不自由そうだった。
同乗の男性は、友人。普通に動けるので、彼のサポートをしていた。
自転車の国、オランダでは、自転車のような、車椅子も持ち込める。
カバーを買うにも、どこで買えばいいかわからないから、銀座に向かうので、そこで購入するので乗せてほしいと言う。
残念ながら、地下鉄の規則でこの大きさの持ち込みが禁じられているので、今は、あなた方が降りないと、地下鉄が発車できないと伝えた。
規則とはわかっているけど、申し訳なく感じた。
自転車型の車椅子を乗せられないのは、国によって規則がそれぞれあるので理解できる。
ただ、あの車掌さんの態度が非常に残念だった。
はるばる、オランダから日本にやってきて、今日は初日だという。
天気もよく、きっと晴れやかな気持ちだったのに、英語が話せなくても、もっといい表現方法があったと思う。
呼ばれた3人の地上係り員は、とても優しく対応してくれてたので、ちょっと救われた。
私が、オランダ人2人のガイドだと思ったらしく、「それでは、一緒に降りていただけますか?」と言われた。
ガイドではないこと告げると、「あーそうだったんですね。ご丁寧にありがとうございました。」と言われた。
オランダ人にもお礼を言われたので、I hope you enjoy in Japan(日本を楽しめますように。)とお伝えした。
本当に心から思った。
5分ほどのやり取りだったのだが、私が座っていた席は、何も知らないで乗ってきた別の乗客が既に座っていた。
そんなわけで、車両の隅っこに立って、今の出来事をちょっと振り返っていたら、そばに座っていた若い男性が、「どうぞ座ってください。」と席を譲ってくれた。
私は、なんだか、彼から「よく頑張ったね。」とねぎらわれた気持ちになり、とても嬉しかった。
きっと彼も私と同じような気持ちになっていたのかなと思った。
前回、インバウンドがすごくブームという話しをした。
Xで#インバウンド #外国人観光客って調べると、なんだか、ネガティブな言葉の羅列で正直びっくりした。
そりゃ、マナーが悪い人もいるけれど、やっぱり日本ってまだまだ外国人をWELCOMEする心意気はそんなにないのかなって思った。
数時間前、アメリカ人のお客さん5人に、明治神宮の説明をした。
この神社は、明治天皇、皇后に捧げたところ。What is Meiji era? (明治時代とは何か?)
それは、サムライと鎖国が終わり、新しい時代になった、日本の歴史の中でも重要な時代と説明をしていた。
ペリーが来た時代と今って、実はそんなに日本人が外国人を受け入れるという心意気は、あまり変わってないような気がした。
こんなんじゃ、観光立国になるのは、いつになることやら。やれやれ。
というわけで、今日はおしまい。
<思い出ブログ>
さすが、オランダ人のお二人。背が高かった。