クルーになって間もない、ある日のベトナムフライトで面白い出来事があった。
ミールサービス中に、後ろを振り返ったら、「パシャ!」とフラッシュをたかれた!
パパラッチ??
そして、また振り向きざまに、「パシャ!」と写真を撮られた。
カメラマンは、ベトナム人のおじさん2人組。
なんだろう?って思っていたら、
「いやー、こいつの娘にあんた、そっくりなんだよー。
おー、本当に似てるなー。近づくとますますだ!」
と盛り上がる2人。
娘さんの年齢を聞いたら、私と1歳違い。
なんだか、私もとても気になってきて、おじさんに写真を持ってないか、聞いたのだが、残念ながら持っていなかった。
ベトナムのフライトは、私の観察によると以下のような特徴がある。
- ビールに氷を入れる。
- トランプをしたいから、機内にないかよく聞かれる。
- コーヒー、紅茶に砂糖をたっぷり入れる。
ベトナム滞在のホテルは、インターナショナルなホテルだ。
ある日の朝、お腹がすいて目が覚めたので、朝食時間が始まる6時にレストランに行った。
そうしたら、周りは、アジア人だらけだった。
9時過ぎになると今度は、西洋人がぐっと増える。
夜のバーは、西洋人ばかり。
アジア人と西洋人の時差が面白い。
ベトナムに初めて行ったのは、1996年。
なっちゃん、あずみちゃんの女友達3人で行った。
バックパック旅行でタイ、ベトナム、マレーシアをなんと2カ月も周った。
その頃のベトナムは、まだなんとなく、貧乏とか汚いというイメージが今より大きかったように思える。
私もベトナムと言えばベトナム戦争でアメリカが撒いた大量の枯れ葉剤の犠牲になって下半身がつながって生まれてきたベトちゃん、ドクちゃんのイメージが大きかった。
戦争の悲惨さを実際のニュースで見て、記憶をした最初の出来事だった気がする。
でもその頃、SMAPの香取慎吾がベトナム人を演じた「ドク」というドラマが放送されたりで、少しだけ認知度が高まった感じはしていた。
ベトナムは、国内添乗員の同期のヤツちゃんに会いに行くために行った。
彼女は、元々ベトナム大好きで大学でもでベトナム語を専攻していた。
日本人カメラマンと結婚して、赴任地として、ベトナムのハノイに引っ越したという。
それならと、添乗員の同期だったあずみちゃんとオーストラリアにもフットワーク軽く来ていたなっちゃんも誘って、3人でお宅訪問にいったのである。
行ってみたら、とっ–てもいいところだった。
ヤツちゃんは、現地の会社でアルバイトをしていた。
なんでもインフレがすごいので、お給料日は、大きなリュックで通勤するという。
なぜかと思ったら、ベトナムドンで支給される札束が物凄い量だからという。
そして、気を付けて帰宅するという。
私達は、ハノイのホアンキエム湖というところに毎日何をするわけでもないが、通っていた。
日本は、ベトナムでも大人気の国だ。
私達は、バックパック旅行で綺麗な恰好をしていないが、それでも、やっぱり日本人とわかるようだ。
いつもベンチに座っていると、子供を中心に皆が集まってくる。
最初は、皆、何か買ってもらいたくて、近づくのだが、私達が覚えたてのベトナム語で話しかけると、色々教えてくれて、その輪がいつのまにか、とても大きくなっていて、すごいことになる。
数字を教えてもらった。1,2,3は、モッ ハイ バー。
ベトナムの有名なビール、333は、バーバーバーだ。
その頃、NHKの「おしん」が放映されていたようで、おしんは、大人気だった。
あの大国日本にも苦しい時代があったということに、共感と希望を呼ぶらしい。
私達3人の中で、あずみちゃんが、圧倒的に「日本人」らしい顔をしていた。
あずみちゃんは、いつのまにか、「おしん」と自然に呼ばれていた。
なっちゃんの苗字は、「スズキ」だ。
バイク大国のベトナム。
スズキという名前も彼らには、馴染みがある。
なっちゃんは、いつのまにか、ベトナムでの芸名が、「スズキ」になった。
私は、そういう観点からいうと、ベトナム人が馴染めるような名前や見た目の要素がなかった。
なので、バイク繋がりで「ホンダ」と名乗ることにした。
そんなわけで、ハノイでは、遠くからでもよく、
「おしーーん、スズキーー、ホンダー」
と声をかけられちょっとした有名人になった。
その当時、家族に送った、ハガキには、
「ハノイは、人がとても純粋です。生きているって感じがして、私はここが大好きです。」
と書いてあった。
あの時は、ニャチャンとホーチミンにも行っている。
ニャチャンは、今や、リゾート地で中国人、韓国人に大人気らしい。
高級な高層ホテルがいっぱい建っているのを数年後見て、衝撃を受けた。
あの当時は、まだまだ田舎だった。
ベトナム人の新婚旅行先で人気があったと聞いた。
ベトナム料理は、とにかく美味しい。
米麺のフォーは、朝、屋台で5円もしない値段で売っていて、これが、また胃に染み渡る美味しさだ。
ニャチャンというと、フォーがまず思い浮かぶ。
ニャチャンのビーチのパラソルの下でのんびりしていたら、ベトナム人のお金持ちの男性に声をかけられた。
なぜか、私が一緒に写真を撮ってもらえませんか?と言われてて、応じたら、高級なレストランに連れていってもらい、ご馳走になった。
なっちゃんとあずみちゃんも一緒に行った。
高級レストランに連れて行ってもらい、バックパック旅行の私達は、テンションが上がる。
2人が、
「いいじゃん、この人!ムッツィー、ベトナムにお嫁にいきなよー。」
とからかう!
もしあの時、そのまま居残ったら、この世界探検隊は存在してないだろう。笑
そんなベトナムには、もう一つ、格別な思い出がある。
それは、両親を連れていけたことだ。
私がクルーになる前に、背中を押してくれた両親に、クルーになった半年後にベトナムに連れていけた。
父は、初めての海外旅行。母は2度目だった。
2人共本当に楽しんでくれたので、親孝行ができてよかったと思っている。
父は、相変わらず入れ歯をカクカクさせていたが、初めての海外旅行に全く物おじせず、
マイペースで、ちょっと驚いた。
普段から何も考えてないところがあるが、それが吉と出たので、助かった。
そんな、ベトナム。
まだまだ思い出は尽きないが、続きはまた明日!
というわけで今日はおしまい!またねーー。
こちらは、今回の話しに出てきた、クルーになる前の両親の思いのお話し。読んでない方はどうぞ。
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