【海外生活ブログ】戦争を考える

海外生活/ フランス

ロシアがウクライナを侵攻するかもと緊張感が高まっている。

自分の記憶の中に、いくつかの戦争のエピソードがある。

そのうちの一つは、1991年1月17日の湾岸戦争だ。

これは、1990年の8月にイラクがクウェートを侵攻したことをきっかけに、国際連合が多国籍軍を派遣してイラクを空爆して始まった戦争だ。

日本は、宮沢内閣で、自衛隊派遣をどうするかという問題が挙がっていた。

高校の英語の授業で、このニュース記事が使われた。その時の小坂先生が、

物凄い怒りを込めて、ブッシュ大統領の名前を挙げていたのを、今でもよく覚えている。

その当時は、高校2年生で、自分自身、毎日平和で楽しかったから、ニュースで映像をみても、対岸の火事のようだった。

ただ、戦争ってこうやって始まるんだなとぼんやり思っていた。

そんな中、フランスにいた、2003年2月にまた戦争が始まるかもという状況になった

イラクのフセイン政権打倒を目的に、米英主体の有志連合が軍事作戦をするために動き始めた。

私がホームステイしたサザエさん一家の、ママのクリスティーンとパパのクロウドは、戦争大大大大大反対だった。

クリスティーンは、ベトナムの血が4分1入っている。

ベトナム戦争は、他人事では全くない。

なので、戦争に大儀はないのに、正当化して戦争に持っていこうとするアメリカのやり方に嫌悪感むき出しにしていた。

それは、高校の時の小坂先生のあの嫌悪感むき出しの表情を思い起こさせた

クロウドは、「ブッシュ政権になってから、アメリカはろくな事がない。2月のスペースシャトルコロンビア号空中分解事故もブッシュの普段の行いがよくないからだ」とまで言った。

コロンビア号空中分解事故 - Wikipedia

一緒に住んでいる、フランス人大学生のトニーは、「戦争はよくないけど、ここでフセインを止めないと、将来、もっと大変なことになるかもしれない」と言う。

毎晩、夕食時に見る、France2のニュース中、熱い討論が交わされた。

9月にこの家に来た時は、この議論の内容を全く理解できず、「黒」「白」「アメリカ」という単語を拾って、勝手に、アメリカの人種問題について話しているなんて予想していたこともあった。

しかし、この戦争の頃の2月には、だいぶ私のフランス語も鍛えられてた。

私は、もちろん戦争反対なのだが、では、なぜ、そう思うのか?など討論するほど、フランス語力の前に、自分自身の深い意見を持ってないことにこういう時に気が付く。

フランスは、毎日、もちろん戦争反対のデモがあった。私も参加した。

そんな中、2002年3月に結局開戦となった。

戦争が始まったら、ますます議論炸裂となった。

戦争中なのに、ブッシュが休暇を取ったというニュースが流れれば、

こんな時にのんきに休暇なんて、アメリカのおごりだ。」と怒るクロウド。

あの時は、ブッシュとイギリスのブレア首相仲良し外交も話題になった。

フランスとドイツは、真っ向から大反対の態度を示した。

フランスは、シラク大統領、ドイツは、シュレーダー首相だった

この両国リーダーの強固で一貫した主張は、フランス国内では大絶賛され、国民は、この主義に関して、誇りと自信で満ち溢れていた。

クリスーティーンは、そんなシラク大統領が大好きで、「シシイ」と愛をこめて呼んでいた。

私は、フランスに滞在する前は、フランス人が苦手だった

自己主張の強さと曲者が揃い、正直、あまり関わりたくない国民だった

しかし、この時期に、フランスという国に住み、彼らの一貫した主張を目の当たりにして、感動すら覚えた。

今では、フランス人は大好きだ。

この戦争の一件で感じたのは、フランス人だけではないが、どの国の人も自分の意見をしっかり持っているということだった。

それは、戦争という重いテーマだけではない。

私は、しっかりした意見を持ってないとその当時感じた。

だから、この戦争問題をきっかけに、きちんと社会のことをもっと考えないとと思って現在まで生きている

ところで、フランス人には、イスラム教の人も沢山住んでいる。

イスラム教の人達は、どう思っているんだろうと思っていたある日、モロッコ人のお友達のサイーダのうちに行った。

随分前に、旦那さんが不法入国していて、私のCDを盗んだかもと私が今も容疑を投げかけているあの友達だ。

サイーダは、敬虔なイスラム教だ。

家には、コーランとお祈りの為のじゅうたんがあった。

この戦争に関して聞いたところ、もちろん戦争には大反対で、戦争をする理由に、イスラム教を持ち出して、アメリカでイスラム教を敵扱いすることに悲しさと怒りがあると言っていた。

アメリカは、この戦争により、大きな過ちを犯してしまったのかもしれないと思った世界中の反戦デモをどう感じるのか?

そんな中、クロウドは、またその週末の土曜日も反戦デモに繰り出していた。

結局、2003年5月にはブッシュ米大統領が戦闘終結を宣言した。

開戦前、武力行使を明確に容認する国連安保理決議はなく、アメリカは、「イラクが大量破壊兵器を開発している」とする証拠を示し、「戦争の大義」とした。

その後「証拠」は虚偽だったと判明。米軍の完全撤退は11年末までずれ込み、死者は4千人を超えたという。

戦争で犠牲になる多くは、罪のない人達ばかりだ。

戦争は起こしてはいけない。良識のある各国のリーダーが対話で止めてくれるようにと祈るしかできない。

コメント

タイトルとURLをコピーしました